宮古島に来ると、なぜか心がすーっと軽くなっていく感覚があります。海の色がきれいだから、というだけでは説明がつかないくらい、毎回同じ場所で同じように「浄化される」ような気持ちになるんです🍃
うまく言葉にできずにいたのですが、調べていくうちに、宮古島には昔から大切に守られてきた「神様がいる場所」がたくさんあることを知りました。今回はその話を書いてみようと思います。
きっかけは、船から遠くに見えた小さな島でした。「あの島は何だろう」と気になってGoogleマップで調べてみたら、そこは「大神島」という、島全体が聖域とされる神の島。
行ってみたいような、でも少し怖いような、不思議な気持ちになったのを覚えています。そこから宮古島の御嶽(うたき)や聖地について少しずつ調べるようになりました。
「御嶽(うたき)」ってそもそも何?
沖縄や宮古の島々には「御嶽」と呼ばれる祈りの場所が古くからあります。神社のような社殿があるわけではなく、木々や岩、泉などそのものが信仰の対象になっているのが特徴です。集落ごとに御嶽があり、豊作や航海安全、島の安寧を祈る場として、今も地域の人たちに大切にされています。その数は宮古諸島全体で約900カ所にのぼるとも言われていて、一つの島にこれだけの祈りの場所が今も残っていることに、素直に驚きました。
ここで、これだけはどうしても伝えておきたいことがあります。御嶽は神々が宿る神聖な祈りの場であり、観光地ではありません。宮古島観光協会の公式サイトでも「地元の人々でも入ることのできない聖域を持つ御嶽が数多く存在する」とはっきり明記されていて、ロープや石積みで囲まれた「イビ」と呼ばれる最も神聖な区域は、祭祀に関わる人以外は立ち入り禁止です。
近年は「パワースポット」としてインターネットで紹介されたことをきっかけに、この前提を知らないまま無断で立ち入ってしまう観光客が増え、トラブルになっているケースもあるのだそうです。撮影が禁止されている御嶽もあるので、現地の看板や案内、地元の方の言葉には必ず従うこと。だからこそ私自身は、こうした聖域には無理に足を踏み入れず、そっとしておきたいと思っています。知って、敬意を持って距離を保つことも、この場所を守るひとつの形だと思うからです。
実は、御嶽以外にも「今は行けなくなった場所」が宮古島にはあります。伊良部島にある「三角点」という断崖絶壁の絶景スポットは、以前SNSで「秘境スポット」として話題になり、一気に多くの観光客が訪れるようになりました。ただ、柵もない狭い崖の上という危険な地形だったため、安全が確保できないことを理由に2021年から立ち入り禁止になっています。
御嶽のように信仰の対象ではありませんが、「みんなが見たい」という気持ちが積み重なった結果、その場所自体に誰も行けなくなってしまったという意味では、根っこの部分でつながっている話のように感じます。
御嶽で祭祀をとりしきるのは「ツカサ(司)」と呼ばれる女性たち。沖縄本島でいう「ノロ」にあたる存在で、該当する年齢の女性の名前を紙に書いて盆の上で揺らし、一番よく落ちた人が選ばれる、という独特な方法で選出されるそうです。任期中は「島の外に出てはいけない」「海に行ってはいけない」など生活そのものに大きな制約がかかり、夜中に行われる祭祀も含めて年に何十回もの神事をこなすといいます。今は働く女性が増え、この役目を引き受けられる人が減っていて、ツカサがいなくなり祭祀そのものが途絶えかけている地域もあるのだとか。
観光地というより、今も誰かが生活を懸けて守っている信仰の場所なんだな、と知って、それまでとは少し違う目で宮古島を見るようになりました。
宮古島の始まりの場所「漲水御嶽」
宮古島で最も格式が高いとされているのが、平良にある「漲水御嶽(はりみずうたき)」です。人間がまだこの世に生まれる前、古意角(こいつの)・姑依玉(こいたま)という二柱の神様が天から降りてきて島や自然を生み出し、また天へ昇っていった、という宮古島の創世神話が伝わる場所。まさに宮古島の原点、聖地そのものと言われています。平良港のすぐ近くにあるので、実はアクセス自体は難しくないのですが、私はまだ足を運べていません。次に宮古島に行ったときは、真っ先に手を合わせに行きたい場所です。
「神の島」と呼ばれる大神島

私が遠くから眺めた大神島は、周囲3.7kmほどの小さな島。人口はわずか20人ほどだそうですが、それなのに沖縄の中でも屈指と言われるほど聖域が多く、今も「ウヤガン」と呼ばれる女性が祭祀を司り、石ひとつ動かすにも許可が必要とされるほど、信仰が暮らしに深く根づいているそうです。上陸した人はまず「島まもりの神様の岩」に挨拶をするのが習わしとされていて、聖域には無断で立ち入らないこと、初めてならガイドと一緒に回ることがすすめられています。遠くから見ただけなのに、なんとなく「軽い気持ちでは踏み込めない場所なんだろうな」と感じたのは、間違っていなかったのかもしれません。
隠れた神秘の池「ピキャズ」

もうひとつ気になっているのが、平良にある「ピキャズ」という池。結論から言うと、下地島の人気ダイビングスポット「通り池」と、生まれ方はまったく同じ。(写真は通り池)。
どちらも琉球石灰岩が雨水などに溶かされて鍾乳洞ができ、その天井が崩れ落ちて池になった「陥没ドリーネ」と呼ばれる地形です。通り池は直径55mと75mの2つの池が天然の橋でつながり、さらに直径10mほどの海底洞窟で海ともつながっている、かなり大規模なもの。
それに対してピキャズは池がひとつだけで、規模もぐっと小さいので、「通り池のミニチュア版」とイメージするとわかりやすいと思います。名前の由来として、「市内の井戸(ウリガー)で失くした木桶が、このピキャズで見つかった」という言い伝えがあり、地下水脈でどこかとつながっていると信じられてきたそうです。
観光地化されすぎていない分、今も静かで神秘的な空気が残っている場所だと聞いて、いつか訪れてみたいと思っています。
川のない島を支える「地下ダム」という奇跡

調べていて驚いたのが、宮古島には川や湖がほとんどないということ。サンゴ礁が隆起してできた琉球石灰岩の島は水はけが良すぎて、雨が降ってもあっという間に地面に染み込み、そのまま海へ流れ出てしまうのだそうです。実際に1971年には大干ばつでサトウキビの収穫量が激減した記録も残っているのだとか。そこで作られたのが「地下ダム」。地中にコンクリートの壁を築いて地下水の流れをせき止め、石灰岩の地層そのものを天然の貯水タンクとして利用するという仕組みです。城辺エリアにある福里ダムと砂川ダムをあわせると、蓄えられる水の量はおよそ2,400万トン。川のない島にこれほど大規模な地下ダムが実現したのは、世界的にも珍しい出来事なんだそうです。宮古島のあの透き通った海も、この地下ダムに支えられた暮らしの水も、たどれば同じ一つの雨から生まれたもの。目に見える海だけでなく、目に見えない地下の水まで、これだけの努力と工夫で守られてきたんだと知って、なんだか胸が熱くなりました。
なぜ宮古島に来ると心が浄化されるのか

正直、漲水御嶽にも大神島にもピキャズにも、私はまだ実際に足を運べていません。それでも、こうして調べるほどに「宮古島は、目に見える景色だけの島じゃないんだ」と感じるようになりました。何百年も前から人々が祈りを捧げ、水を大切にし、島そのものを守ってきた。その積み重ねの上に、今の宮古島の海の透明度や自然があるんだと思うと、訪れるたびに心が浄化されるように感じるのも、当然のことなのかもしれません。私が感じていた「浄化される感覚」は、宮古島の景色だけでなく、この島が背負ってきた祈りの歴史そのものに触れていたからなのかもしれない、と今は思っています。
まとめ:この自然を、ずっと守っていきたい

御嶽や大神島、ピキャズのような聖地は、観光のためではなく、島に生きる人たちが何世代にもわたって大切に守り続けてきた場所です。その積み重ねの結果として、今の宮古島の海や自然がある。次に宮古島を訪れるときは、漲水御嶽やピキャズにも足を運び、大神島には礼儀を守れる形でいつか渡ってみたいです。宮古島に「行けば行くほど好きになる」理由は、きっとこの島の見えない部分にもあるんだろうなと、今回調べてみて改めて感じました。
でもこの自然は、私たち観光客が好きに消費していいものではないはずです。宮古島にとって観光は大切な産業ですが、それは島の人たちが長い時間をかけて守ってきた土台があってこそ成り立っているもの。年々観光客は増えていて、私自身もそのひとりです。だからこそ、訪れる側が節度を持って楽しむこと、ひとりひとりが「この海は預かりものなんだ」という気持ちを忘れないことが、結局はこの尊い自然を守ることにつながるんだと思います。海外の名だたるビーチにも引けを取らない碧い海が、日本にちゃんとあるんだということを、これからも誇りに思っていられるように。私も一人の観光客として、宮古島の海を守る側でいたいです。
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✍️ この記事を書いたのは
mia|海好きママの子連れ旅行ブログ LagoonReef
東海地方在住、10歳と7歳の男の子のママ。宮古島に初めて行ったら一瞬で虜になり、毎年家族で通っています。医療職の目線で「失敗談も全部含めたリアルな体験」をお届けするのがモットー。宮古島や沖縄旅行を計画している友人から、よく相談をもらいます。『子連れでも楽しめる?』『結局いくらかかった?』——そんな質問に答えるつもりで書いているブログです。「私も行けるかも!」と思ってもらえたら嬉しいです🌊


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