はじめに:LagoonReefという名前の理由
初めて宮古島の海を見たとき、一瞬で心を奪われました。透明度の高い水、エメラルドグリーンのラグーン、その奥に静かに広がる珊瑚礁。理屈ではなく、ただ「美しい」としか言葉にできない感覚で、気づいたら虜になっていました。
きっと、同じような瞬間を経験した方は多いと思います。
このブログを「LagoonReef」と名付けたのは、まさにこの体験があったからです。ラグーン(礁池)の穏やかな海は、その外側にある珊瑚礁(リーフ)が守ってくれている。それを知ったとき、宮古島の海の美しさの理由が、ようやく腑に落ちた気がしました。
少しでも多くの方が、この自然を大切にしながら、安全に、最高の旅行を楽しんでほしい。今日はその想いを込めて、珊瑚礁が私たちを守ってくれている仕組みと、知っておきたい海の安全について書きます。
そもそも「ラグーン」って何?私が海を好きになった理由

ラグーン(礁池)とは、珊瑚礁に囲まれてできた浅く穏やかな水域のこと。外側のリーフが波を防いでくれることで、内側に驚くほど静かで透明な海ができあがります。宮古島の海の透明度の理由についてはこちらの記事で詳しく書いたので、ここでは少し違う話をしたいと思います。私が海を好きになった理由です。
初めて宮古島の海を見たとき、言葉では言い表せないほど穏やかで美しい碧い海に、ただ感動しました。「私の居場所はここだ」「ここは天国だ」「ここにずっとずっといたい」と本気で思ったのを覚えています。もともと海なし県の出身なので、海そのものに強く惹かれる部分もあったのだと思います。
それ以来、夏は毎年必ず海水浴に行きます。海を見て、泳いで、魚やカニを捕まえて、ビーチでビールを飲む。それだけで満たされる夏が大好きです。海が大好きで、自然が大好き。旅行で得られる体験は、日常生活では絶対にできないことばかりで、そこから学ぶことも本当に多い。まるで地球から教えてもらっているような感覚になります。子どもたちとの旅行の思い出さえあれば、それだけでずっと生きていける気がするほどです。
そんな特別な海を支えているのが珊瑚礁です。次の章から、その仕組みを少し詳しく見ていきます。
リーフが波を止めて、ラグーンを穏やかにしている
宮古島のような海でラグーンが穏やかなのは、偶然ではありません。
外側に広がる珊瑚礁(リーフ)は、沖からやってくる波を受け止めて砕く、いわば天然の防波堤です。波が砕ける場所を「礁縁(リーフエッジ)」と呼び、ここで外洋の大きな波の力がほとんど吸収されます。礁縁から海岸側に広がる浅い場所を「礁池(イノー)」と呼び、これが私たちが安心して泳げるラグーンです。
つまり、ラグーンの静かな水面の下には、外側のリーフが波と戦ってくれているという構造があります。珊瑚礁が健康であるほど、この防波堤としての機能も保たれます。宮古島などのサンゴ礁は、高潮や波・侵食の被害を防ぐ役割を果たしていることが、行政の調査でも経済的な価値として評価されています(環境省 サンゴ礁の経済価値試算)。
私たちが安全に楽しめる穏やかな海は、リーフという生きた構造物に守られている。これがLagoonReefという名前に込めた、もう一つの意味でもあります。
それでも油断できない理由:離岸流

一方で、リーフに囲まれた海だからこそ気をつけたいのが「離岸流」です。
離岸流とは、岸に打ち寄せた波が、特定の通り道を通って一気に沖へ引いていく強い流れのこと。サンゴに囲まれた地形は水の通り道ができやすく、流れが一カ所に集中しやすいため、宮古島は離岸流が発生しやすい海域といわれています(宮古島観光協会)。
見分け方の目安は次のとおりです。
- 周りの波が立っているのに、そこだけ波が立たず筋のようになっている場所
- 泡や砂が一直線に沖へ向かって流れている場所
- 沖合にゴミや浮遊物が集まっている場所
これらは「そこだけ水が引いていく道」ができているサインです。巻き込まれると一瞬で沖まで流されてしまうため、見た目が穏やかなラグーンでも、入る前にその日の海の様子を確認する習慣をつけてほしいと思います。
医療職として働いていると、「知っていれば防げたかもしれない」という事故が一番やりきれない、という感覚があります。海の事故も同じで、離岸流は知識があれば避けられる危険です。ハブクラゲや熱中症など、海で気をつけたい他のリスクについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
✍️ この記事を書いたのは
mia|海好きママの子連れ旅行ブログ LagoonReef
東海地方在住、10歳と7歳の男の子のママ。宮古島に初めて行ったら一瞬で虜になり、毎年家族で通っています。医療職の目線で「失敗談も全部含めたリアルな体験」をお届けするのがモットー。「私も行けるかも!」と思ってもらえたら嬉しいです🌊
同じ宮古島でも、ビーチごとに「リーフとの距離」が違う
ここまで説明してきた「リーフが守る・守らない」という関係は、実は宮古島の人気ビーチごとに見え方が変わります。設備やおすすめ度はすでに子連れ宮古島でおすすめのビーチ5選で紹介済みなので、ここでは「なぜそのビーチが穏やか、または危険なのか」をリーフ構造の視点だけで見ていきます。
新城海岸:リーフに守られた、典型的なラグーン 沖合にリーフが広がり、その内側の浅い礁池が遠浅の海水浴場になっています。リーフが外洋の波を受け止めてくれるため、波が穏やかで子連れに向いています。ただしリーフには切れ目(水の通り道)があり、そこではリーフカレント(離岸流)が発生するため、「穏やかに見える海にも通り道がある」ことを意識しておきたい場所です。

実際に私たちもシュノーケルツアーで新城海岸を訪れたことがありますが、泳いでいる間は正直、流れの通り道があるなんて全く分かりませんでした。ツアーだったので、岸から少し離れた珊瑚礁の多いポイントまで案内してもらい、たくさんの魚を見ることができましたが、もし自分たちだけで同じ場所まで泳いでいたら…と思うと怖くなります。地形を知っているガイドさんと一緒だったからこその安心感だったんだなと、後から実感しました。(参考:ウミガメシュノーケルツアー)
与那覇前浜ビーチ:遠浅の地形そのものが守ってくれている 前浜は沖合のリーフよりも、遠浅で緩やかな地形そのものが波を穏やかにしているビーチです。リーフによる防波堤効果というより、海岸線の形と浅さが穏やかさの理由になっている点が新城海岸とは少し違います。

オハマビーチ(池間島):リーフの「外側」に近い場所 池間ブルーと呼ばれる七色の海が見られるのは、リーフに囲まれた浅い礁池ではなく、深場に近い場所だからこそ。透明度が高い分、リーフの防波堤効果が及びにくい海域でもあるため、泳ぐ場所というより景色を眺める場所、という位置づけが地形的にも納得できます。

渡口の浜:リーフがなく、外洋と直結している 渡口の浜が「景色は最高だけど海水浴は避けたい」と言われる最大の理由は、ここにはリーフがほとんどなく、海が外洋へそのままつながっていることです。リーフという防波堤がないため、波や流れが直接届きやすく、強い離岸流が発生しやすい構造になっています。

17エンド:リーフの先端、潮の通り道そのもの 17エンドは伊良部島と下地島の間にできた砂州で、潮の流れが集中しやすい場所に位置しています。干潮時に現れる美しい砂浜は、まさにこの強い水流が作り出した地形です。景色を作っているのと同じ流れが、油断すると人を沖へ連れて行ってしまう。美しさと危険が同じ理由から生まれている、宮古島らしい場所だと感じます。

シギラビーチ:入り江そのものがリーフ代わりになっている 南部のリゾートエリアにあるシギラビーチは、入り江状の地形になっていて、その形自体が外洋の波を遮ってくれています。波が穏やかでサンゴや魚も多いのは、地形が天然の入り江としてリーフと似た役割を果たしているからです。
吉野海岸:サンゴ礁が波打ち際まで迫っている 東側にある吉野海岸は、サンゴ礁が岸のすぐ近くまで広がっているのが特徴です。礁池が浅く狭いため、満潮時は穏やかに泳げますが、干潮時は水位が下がりすぎて遊泳に向かないこともあります。リーフとの距離が近い分、潮の状態にとても影響されやすいビーチだと言えます。
長間浜:リーフまで距離があり、風の影響を受けやすい 来間島にある長間浜は、岸から20〜30m先にサンゴが広がる遠浅の海です。普段は穏やかですが、西寄りの風が吹くと波が立ちやすいといわれています。リーフがあっても、風向きによって守られ方が変わる、という地形の特徴がよく分かる場所です。
こうして比べると、「同じ宮古島の海」でも、リーフとの距離関係ひとつで穏やかさと危険度がまったく変わることが分かります。ビーチを選ぶときは、設備や景色だけでなく、「このビーチはリーフに守られているか、それとも外洋と直結しているか」という視点を持つと、より安全に楽しめると思います。
子連れで気をつけたいこと
- 入る前に数分、海面を観察する(波の立ち方、流れの筋がないか)
- 子どもを見る担当を最初に決めておく(我が家は上の子をパパ、下の子をママが担当。写真を撮る間も、必ずどちらかが目を離さないようにしています)
- ラッシュガードは目立つ色がいいと分かっていても、正直うちはデザインの可愛さを優先してしまいました🙄その分、担当分けと「目を離さない」を徹底しています
- ライフジャケットは必須。荷物を増やしたくないので、ウミガメシュノーケルツアーなどのシュノーケルツアーでレンタルするようにしています(持ち物の詳細はこちらの記事も参考にしてください)
- 「沖に流されたら、岸と平行に泳いで流れから抜ける」を家族で共有しておく
- 監視員や地元の人がいるビーチを優先して選ぶ
このリーフを守るために、私たちにできること

ラグーンの穏やかさを支えているリーフ自体も、実は私たちの行動で弱ってしまいます。難しいことではなく、旅行者として今日からできることがあります。
サンゴに優しい日焼け止めを選ぶ 一般的な日焼け止めに含まれるオキシベンゾンなどの成分は、海水に溶け出すとサンゴに吸収され、サンゴの繁殖や成長を妨げ、白化の一因になることがわかっています。海水に溶けにくい酸化亜鉛を使ったノンケミカルタイプを選ぶと、サンゴへの負担を減らせます。ハワイやパラオでは、サンゴに有害な成分を含む日焼け止めの販売・持ち込みそのものを規制する法律もできています(日経新聞、Oceana)。
私自身はアネッサの日焼け止め効果の高さは知っていますが、ケミカル処方なのでサンゴへの影響を考えて、今はノンケミカルのアリーを使っています。アネッサに比べると焼けやすい感覚はあるので、こまめに塗り直すことを意識しています。完璧な対策じゃなくても、できる範囲でサンゴに優しい選択をする、くらいの気持ちで続けています。
サンゴに触れない、立たない サンゴはゆっくり成長する生き物です。足で踏んだり、フィンで触れたりするだけで簡単に折れてしまいます。シュノーケリング中は、浮力を保ち、サンゴの上に立たないことを意識するだけで、知らずに傷つけてしまうことを防げます。
ゴミを持ち帰る、拾う 海岸や海中のゴミは、サンゴや海の生き物に絡まったり、分解される過程で水質に影響したりします。自分のゴミは必ず持ち帰り、可能であれば気づいたゴミを一つ拾う。それだけで十分な行動になります。
特別な知識や装備がなくても、旅行者一人ひとりのこうした小さな選択が、次にこの海を訪れる誰かのための「穏やかなラグーン」を守ることにつながると思っています。
おわりに
この記事は、知識として珊瑚礁や離岸流を説明するためだけに書いたものではありません。一瞬で心を奪われたあの宮古島の海を、できるだけ長く、安全に、多くの人に楽しんでもらいたい。その想いが、LagoonReefというブランドの出発点です。
次回は実際に取材予定のインギャーマリンガーデンとフナクスビーチについて、子連れ目線でのビーチレビューをお届けします。


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